シンガポールに転職するのって難しいの?とよく聞かれますが、その人の経験や様々なコンディションによってその答えも様々です。シンガポールに転職したいと思ってるけど、実際どうなの?という方向けの記事です。
シンガポールの労働ビザの種類
シンガポールで働くために必要なビザには、何種類かありますが、一般的な3つのビザをご紹介します。また下記は、私が個人的にリサーチしてまとめたものなので、100%正しいとは限らない、規制は突然変わるので最新の情報ではないということを留意の上、読んでください!
EP(Employment Pass)
シンガポールで働いている多くの日本人が所有しているであろう、Employment Pass。略してEPと呼びます。企業からオファー(内定)をもらっていれば誰でも申し込めますが、月収最低4,500ドル以上の職に就く必要があります。(※2021年5月時点)この最低月収は、シンガポールの経済状況によって変動するので、必ずMOMのホームページで確認してください。コロナによる経済不安により2020年にこの最低月収が大きく変わりました。一応職種としては、専門職やマネージャー、幹部と記載されています。
S Pass
EPより若干専門度が落ちるのがS Passで、最低月収が2,500ドルとEPよりも低いです。(※2021年5月時点)degree or diplomaを取得している人のみ、つまり大卒や高卒、短大を卒業している必要があります。また、下記のように記載があるので専門学校や資格を取るための1年のコースであっても大丈夫そうです。
- Have a degree or diploma. We may consider technical certificates, such as courses for qualified technicians or specialists. The certification should require at least 1 year of full-time study.
EPとS Passは、被雇用者からするとあまり大きな違いがありませんが、雇用者側からするとS Passを発行できる数が限られていたり、Lavy(税金の一種)を政府に支払わなくてはいけないため、求人数も限られています。
WP (Work Permit for foreign workers)
2021年になって規定が変更になり、日本国籍の人も申請できるようになりました。EPやS Passとの違いは、最低給与の指定がなく、奥さんや子供と移住するための家族ビザは出ません。また、かなり広域ですが一応WPで就労できる産業が決まっているので、対象外の産業で働くことはできません。給与はS Passの基準の2,500ドルより低いのではないかというのが、私の予想です。
参考:MOM Work Permit for foreign workers
PEP (Personalised Employment Pass)
条件さえクリアしていれば、比較的取得しやすいとされているPEP。その条件とは、シンガポール国外に住んでいる外国人の場合、SGD18,000(日本円で約145万円)の月収があること。EPやS Passは、雇用主がスポンサーするという形ですが、PEPはどこの企業にも属しません。求人によっては、シンガポール人、PRもしくはPEP保持者のみの求人もあるので、PEPを持っていると職探しの際に有利になることもあります。なお、PEPでフリーランスとして働くことはできませんし、シンガポール移住後も1月~12月の間に最低SGD144,000を収入として得る必要があります。PEPビザで新規入国する人は恐らくほとんどおらず、EPで働いてからPEPに切り替えるという人が多い気がします。
参考:MOM Personalised Employment Pass
シンガポール転職において有利になるスキルやバックラウンド
次の項目でも説明しますが、年齢が若くて、学歴が高く、給与が高い方が有利です。まぁ当たり前だろと思いますが、ビザ政策からも読み取れるように、シンガポールは若くて優秀な人材を求めています。学歴でいうと、4大卒の学位を持っているのと持っていないのでは、上記で説明したように取得できるビザの種類が異なります。MBAやPhDを持っていれば、更に有利になります。
次に有利になるのが、もちろん経験。シンガポールには、駐在員として海外から派遣された管理職の人や、英語が公用語ということもあり、世界中から優秀な人が集まっています。基本的に、中途採用の求人が多く最低でも2,3年は職務経験が欲しいところ。新卒や社会人経験1年の人が職を探すのはなかなか難しいのが現実です。(でも不可能ではありません。)
そして次も当たり前の言語。前職で英語を使っていたもしくは、ビジネスレベルで話せることができると、応募できる求人がぐっと増えます。エンジニア職などの技術職は正直この言語の重要度はわからないですが、同僚・本社とのコミュニケーションや、入社後より高いポジションにつきたければ、、ビジネスレベルの英語は必須でしょう。更に、日本語の業務経験や、日本企業相手にビジネスを行った経験も非常に重要です。不景気といわれるも、GDP世界3位の日本。多くのビジネスで、日本は重要なマーケットです。(ほんと日本人に生まれてよかった。)そのため外資系の会社でも、特に営業職や、Business Developmentの職種では、日本語必須の求人を多く見かけることがあります。私も実際、全く経験のない業種や業界のリクルーターの方から日本語が話せるからという理由だけで、お誘いいただいたことが何度もあります。
シンガポール転職の心得
必要な生活費
この部分のリサーチは入念に行って、いくら給与があれば自分が理想とする生活基準が保てるか調べておく必要があります。夫婦で引っ越すのか、独身なのか、子持ちなのかで大きく生活費は異なりますし、シェアハウスに住むのもOKなのか、飲酒をするか、ホーカー(屋台のようなもの)での食事も気にならないか、それともお洒落なレストランに行きたいか、自炊の頻度など生活スタイルによっても生活費は大きく異なります。なので最低これくらいは必要ですというのも、私からは伝えられません。こちらのサイトは比較的、実際の価格にかなり近いと思うので、参考にしてみてください。
NUMBEO Cost of Living in Singapore
ビザ取得のための給与目安
冒頭で紹介した3つの異なるビザ、全部最低給与や最終学歴に規定があったことにお気づきでしょうか。シンガポールでEPやS Passを取得するためには、年齢、学歴によって最低給与に幅があります。
人材紹介会社が下記のようなEP取得のための、学歴・給与の目安を表にしています。表が示しているように、なんと卒業した大学によっても細かく給与基準が異なります。早慶卒でも、23歳では5,500ドル(約45万円)の月収が必要となり、Category 3 の決して偏差値が低くない大学を卒業してても、最低6,500ドル(約53万円)の月収と、かなり高い基準であることがお分かりいただけますでしょうか。この新基準で、東京大学、京都大学、東京工業大学以外の大学を卒業した新卒の方には、ビザ取得はかなり難しいと言えます。この基準が、コロナによる不景気によって2020年に大幅に上がりました。2021年春現在では、EP取得はかなり厳しくなっているというのが現状です。
自分で基準を知りたい人は、MOMのHPで学歴や年齢、経験を入力してEP取得可能か確認することができます。逆に言うと、このツールでEP取得不可な場合は、企業もビザの申請さえしてくれないはずです。転職の際の給与交渉にも使えると思いますので、必ず転職活動を始める前に自分で確認してみてください。またこの給与基準は、経済状況により変動しますので最新の情報は常に自分で確認しましょう。ちなみに、このツールでEP取得可能と出ても100%取得可能を保証するものではないので、ご注意ください。
Employment / S Pass Self-Assessment Tool (SAT)
現地採用と駐在員の待遇違い
現地採用は、その名の通り、現地にいる他の外国人や、シンガポール人と同じ待遇で採用されます。そのため、住宅補助や子供の学費の補助もなく、日本の医師がいるクリニックに行けるような保険も付与されません。シンガポール国外から現地採用する際は、シンガポールまでの片道航空券、引越し費用、到着後1週間~1か月間の宿泊費(サービスアパートメント等)を出してくれる会社は多いようです。基本的に、給与と医療保険以外は、すべて自費であるということを認識してください。
一方、日本の支社から配属されてきた駐在員は真逆です。等級による住宅補助、子供の学費、通勤に必要な交通費等一般的なものから、会社によっては日本人会の会費、年に1回日本への往復航空券、日本での社会保険料までも支給されるところもあります。こちらの待遇も会社によってピンキリなので、一概には言えませんね。
求人を探す方法
肝心の職探しですが、一般的な方法をご紹介します。
日系現地エージェントを利用する
シンガポールには2つ大きな日系リクルートエージェントがあります。日系企業の求人が多く、リクルーターの方も日本語ができるので、言語の壁も心配無用です。私は両方のエージェントに登録しましたが、私の給与基準が高かったのと、職種や業界が日系企業に多くある求人とマッチしなかったため、面接まで行ったことは一度もありませんでした。日系企業がシンガポールで活躍する業界であれば、活用できると思いますが、私はもう使わないと思います。
外資系エージェントを利用する
スタートアップの求人を中心に紹介してるエージェントや、日本でも有名なHAYSやMichale Page等の大手リクルートエージェント等、シンガポールにも多くのエージェントがあります。私は、シンガポール国内で転職した際に、初めてエージェントを使ったのですが、過去の面接で聞かれた質問内容を事前共有してくれたり、条件の交渉もしてくれたりと、フォローアップが手厚かったので、リクルーターが間に入っているのは有利だなと思いました。また、上のポジションであればあるほど、Linkedinや企業サイトには掲載されていない職を紹介してくれることもあります。
Linkedinや企業サイト
英語必須の職を探しているなら、Linkedinへの登録は絶対です。きちんとしたプロフィールを掲載していれば、企業の人事採用担当者や、転職エージェントのリクルーターから求人のお知らせがメッセージで届くこともあります。Linkedin経由で、直接応募もできますし、職探しにはなくてはならないツールだと思います。アラート設定や、フィルター機能も充実しているので希望の職を探しやすいです。特に気なる企業に関しては、最新の情報を得るためにも直接企業の採用情報をチェックすることをおすすめします。